- けしき
- I
けしき【景色】〔「気色」から。 近世以降の用字〕(1)ながめ。 風景。 特に, 自然のながめ。
「~のいい所」
(2)茶人のいう陶器の見所の一。 陶器表面にかけた釉(ウワグスリ)の流れ具合や溶け具合, また焼成時の火加減により生じた窯変(ヨウヘン)など, 不測の変化をいう。IIけしき【気色】(1)おもてにあらわれでた心の動き。 顔色や態度など。 また, 機嫌。「臆する~もなく進み出た」「~を柔げて詞を掛けた/青年(鴎外)」
(2)何かが起ころうとする気配。 きざし。「雨は止む~もない」
(3)物事のありさま。 自然のたたずまい。 光景。「今日, 風雲の~はなはだ悪し/土左」「物詣での~とは見えさぶらはず/平家 12」
(4)意向をほのめかすこと。 また, 内諾。「世にかく漏り聞えたるに院の御~のいといみじきなり/栄花(玉のむら菊)」
(5)内情をほのかに示す, わずかなしるし。「~な見せそ, とて笑はせ給ふ/枕草子 49」
(6)目上の人から受けている信頼・寵愛など。「日ごろの御~も違ひ, 昇進もし給はざりけり/徒然 128」
~悪(ア)・し機嫌が悪い。「おほやけの御~・しかりけり/伊勢 114」
~あ・り(1)人の気持ち, 事の気配などをそれとなく表している。「~・る消息聞こえ給へど/宇津保(忠こそ)」
(2)一風変わっている。 また, 変わっていておもしろい。「いと~・るみ山木に宿りたる蔦の色ぞまだ残りたる/源氏(宿木)」
(3)普通ではない。 あやしい。「かばかり雨もよに, 夜中に唯二人いくは~・り。 捕へよ/落窪 1」
~覚(オボ)・ゆ(1)情趣が感じられる。 おもしろいと思う。「ことばの外に, あはれに~・ゆるはなし/徒然 14」
(2)怪しい気配がする。 無気味に思う。「かく人がちなるにだに~・ゆ/大鏡(道長)」
Japanese explanatory dictionaries. 2013.